ラテン語で価値観・行動指針を示す「クレド」。
ハーブ健康本舗では、メンバーが仕事をする上で成果を出すために必要な指針として、22ヶ条の考え方・行動を提唱。日々の朝礼でスピーチの題材にしながら、目に触れるようにしています。
経営ビジョンの実現に欠かせない行動指針ならば、仕事以外のことでこの指針通りに行動することで、大きな目標や夢の実現が叶うはず!
…そんなノリではじめた『会社の行動指針を信じて○○してみた』シリーズは、第4シーズンに入りました。
今回は歴代の企画の中で最も過酷な挑戦!合格率1%未満の狭き門「剣道八段への道」に挑む、商品開発・品質管理を担当する伊島を追いかけます。
品質管理 伊島
2021年入社。前職では通信販売・卸業の会社にて、化粧品の品質管理・商品開発などを担当。ハーブ健康本舗では品質管理に所属、前職の経験・ノウハウを活かし活躍中。実は剣道歴41年!2024年の八段審査に向け修行中。
はじめに|合格率0.6%未満…剣道最高段位の八段
古い歴史をもつ剣道。竹刀・防具を用いて相手と対峙し技を極めていく過程で、気力・精神・集中力を鍛えたり相手への礼節を学んだりできる武道のひとつです。
全日本剣道連盟は、剣道の本質を人間形成の道と表現し、理念として掲げています。
剣道の理念・修練の心構えを理解し、卓越した技術・精神力・剣道人としての完成度をはかるのが「剣道称号・段級位審査」です。
段位の審査は、誰でも挑戦できる訳ではありません。年齢制限や一定の修業期間が設けられ、条件を満たした剣士にのみ挑戦する資格が与えられます。
段 位 | 年齢、修行期間の条件 | 求められる技倆(ぎりょう) |
---|---|---|
初 段 | 満13歳以上 | 剣道の基本を修習し、技倆良なる者 |
二 段 | 初段受有後1年以上修行した者 | 剣道の基本を修得し、技倆良好なる者 |
三 段 | 二段受有後2年以上修行した者 | 剣道の基本を修練し、技倆優なる者 |
四 段 | 三段受有後3年以上修行した者 | 剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者 |
五 段 | 四段受有後4年以上修行した者 | 剣道の基本と応用に練熟し、技倆秀なる者 |
六 段 | 五段受有後5年以上修行した者 | 剣道の精義に練達し、技倆優秀なる者 |
七 段 | 六段受有後6年以上修行した者 | 剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者 |
八 段 | 七段受有後10年以上修行し、かつ満46歳以上の者 | 剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者 |
参考:剣道・居合道・杖道 称号・段級位審査規則/称号・段級位審査細則
剣道八段の昇格試験が開催されるのは年に2回。満46歳以上で、七段に合格した後10年以上修業した剣士だけが、八段へ挑戦する権利を得ます。
全日本剣道連盟によると、2023年度の剣道八段の受験者は4,711人、うち合格者は30人でした。合格率はたったの0.6%…。
参考:【年度別結果一覧】剣道八段審査会 | 行事情報 | 全日本剣道連盟 AJKF
記事を執筆するにあたり、剣道有段者である知人に話を聞くと、「学生で二~三段、剣道指導者で五~六段を取得しているイメージ。八段の有段者と竹刀を交えられる機会はなかなかない」とのこと。技術だけでなく、人としての振る舞いや威厳から違う人、言うなれば雲の上の存在なのだそうです。
伊島は2014年11月、剣道七段の審査に見事合格!その後も鍛錬を続け、日中は仕事を頑張りつつ、業務後や休みの時間を剣道に費やしました。
今年の11月でちょうど10年…東京・日本武道館で開催される八段審査会にて、剣道の最高段位に挑戦します。
目標は高く明確に|目標は、数値化して高く設定し、第三者が見ても分かるレベルに明確にする
夢を実現するには、その夢を強くイメージして目標を明確にすることが第一歩です。「なれればいいな」ではなく、理想の状態を強くイメージし、それを絵に描けるレベルにまで明確にします。何を、どんな方法で、いつまでに、どれだけの結果を出したいか、数字として表現できるものは、すべて数値化して高く設定し、目指す目標を第三者が見ても分かるレベルに明確にします。
クレド 第6条
[目標は高く明確に]より
伊島の剣道生活は、小学2年生の冬に近所の剣道クラブへ入門したことからはじまります。以降41年間を剣道とともに過ごしてきた伊島に、当時の話を聞いてみました。
伊島
「有り余るエネルギーをよいことに使ってほしい」「礼儀正しくなってほしい」との思いで、両親が剣道をすすめてきました。私自身、もともと時代劇が好きで、侍たちが刀で戦うシーンをテレビにかじりついて見ていましたこともあり、剣道をはじめることに乗り気でした。
先輩・後輩の仲がよく、道場の門下生と楽しく過ごしていた伊島に転機が訪れたのは、小学5年生のとき。
伊島
当時、名門だと評判の道場の先生から「お前は素質があるからうちの道場に入れ」とスカウトされたんです。福岡県代表で全国大会に出場する名門道場で、稽古がとてもキツいことを知っていたので、入門したいとは思いませんでした。でも、母親に半ば強制的に入門させられ、その日から地獄の日々がはじまりました…(笑)。
当時の同級生と一緒に
さすがは名門道場、通っていた同級生はみんな練習熱心で、私が一番弱かったんです。ふがいない息子を鍛え直そうと、母親から日々鍛錬に励むよう言われて。朝は5時に起きて走り込み・素振り・打ち込みを行って登校し、学校から道場までの5kmの道のりを自転車を漕いで稽古に向かい、稽古を終え帰宅したらまた素振りをする…そんな毎日を過ごしていました。
おかげで、6年生の時は道場のキャプテンを任せられ、生まれてはじめての全国大会出場を果たせました。全国大会は東京の日本武道館で行われ、会場のスケールがとても大きく、感動したのをよく覚えています。
小学生から名門道場に通い修練をつんでいた伊島。中学生に進学後は、生徒会や勉学が楽しく、剣道に打ち込む時間が減っていったそうです。
伊島
中学生まではとりあえず続けていましたが、高校に進学するタイミングで剣道をやめようかとも考えていたんです。ただ、中学時代を振り返り、楽しいことはたくさんあったけど、どこか達成感のなさを感じている自分に気付きました。
道場の同級生に負けまいと、強くなりたくて練習を続けてきたのに、本当にこのままでいいのか…自問する中でたどり着いたのが、剣道の道を示してくれた道場の館長を超えるまで剣道を続けるという答えでした。
何事も徹底してやり切りたい思いが強いので、剣道も自分の師を超えるまで徹底して突き詰めよう!と一念発起し、高校でも剣道を続けることにしました。
小学生から名門道場に通い修練をつんでいた伊島。幼少期から剣道と向き合い続けてきた背景には、師を超えるという高い目標を自らに課し、目標達成に向けて前進していく姿勢にありました。
失敗に学びやりきる|チャレンジに失敗はつきもの。失敗しても後悔せず、失敗に学んで再チャレンジ、諦めない
何事も順風満帆にコトが進めばいいのですが、新しいチャレンジに失敗はつきもの。大切なのは、「その失敗に何を学び、今後にどう生かすか」ということです。だから、私たちは失敗しても後悔せず、まずは冷静になり、現状を正しく把握、失敗の原因を特定し、結果思考でプロセスを組み直して再チャレンジします。失敗も成功するまでやれば、失敗ではない。諦めずにやりきります。
クレド第10条
[失敗に学びやりきる]より
私立高校へ進学後、剣道漬けの日々を過ごした伊島。大学・社会人になっても剣道を続け、社会人1年目の時点で剣道四段を取得していました。
伊島
修練しながら審査を受け、四段まで取得することができていたので、このまま五段まではとろうと目標を立てました。ただ、社会人なりたての頃は仕事に慣れるのに精一杯で、1年間ほど稽古に励んでいない時期がありました。そんな状況で、五段審査を受けたんです。
結果は不合格。とても悔しい気持ちでした。中学・高校・大学と剣道で成績を残していた中で、1年稽古していなくてもいけるんじゃないか…という慢心があったように思います。
次こそは合格したいと思い、仕事と稽古を両立させる日々がはじまりました。当時は化粧品関連の仕事をしていましたが、仕事のやり方を見直し、効率的にこなしながらできるだけプライベートで稽古にいける時間をつくるようにしました。週3回は平日の勤務後に稽古へ出向くようにしていた時期もあります。
順調な剣道生活の中で味わった悔しさ。伊島は不合格だった事実を受け止め、目標達成に向けて自身の取り組みを見直し、五段審査に向けて修行をはじめました。
伊島
再度受けた五段の審査で、なんとか合格できました。目標達成できた安堵の気持ちでホッとしたのを覚えています。五段まではいこう…と続けた剣道ですが、ここまできたらもっと上を目指したいという欲が出て、さらに上の段位取得を目指すことにしました。
剣道では、六段以上が高段者の位置づけになります。五段審査の経験を忘れず、社会人として仕事に励む一方で、日々の鍛錬を欠かさない毎日を過ごしました。修行仲間や周囲のサポートもあり、その後の六段・七段審査は合格できました。
狭き門である七段をクリアした時点で、それなら最高位を目指そうじゃないかと、八段合格への挑戦を決め、現在に至ります。
逆算のプロセス設計|目標達成のためのプロセスを逆算して、具体的に設計する
目標を立てて次にやることは、結果思考でプロセスを設計することです。結果思考とは、将来実現したい理想の状態を明確にイメージし、それを実現するまでのプロセスを、理想の状態から逆算して設計し、今やるべき事を具体的にして対処する方法です。目標を明確に立てたら、必要な要素をすべて書き出し、優先順位を考えて、いつまでにそれぞれの要素を完結させるかを決定します。
クレド 第7条
[逆算のプロセス設計]より
伊島が八段審査に挑むのは、2024年11月26日・27日。小学6年生で経験した全国大会の舞台である日本武道館で開催される審査会に参加予定です。
試合形式で執り行われる「実技(一次・二次)」に加え、太刀・小太刀という長さの異なる二刀を用いた「日本剣道形」の審査が行われます。試合の勝ち負けや技術力のみならず、所作や立ち振る舞いに表れる厳格さや風格までが問われる、非常に厳しい評価基準です…。
伊島
審査会の本番まで残り1年を切っていますので、より洗礼された稽古が必要だと感じています。いま自分が本番までに何をやるべきなのか、稽古内容を書き出し、具体的にして取り組んでいます。
八段合格に向け、伊島が自身の練習内容を教えてくれました。
内容 | 頻度 | 詳細 |
---|---|---|
防具をつけての稽古 | 週1~2回、土日のみ | 自身の強みであるスピード・試合時の勘の良さ」を活かす。審査会1ヶ月前までに、現状のスピードの1.2倍を目指し、体重を落としつつ重力を味方につけた体の使い方を考案する。また、常に本番と思って稽古に取り組み、本番に動じない精神を養う。 |
筋力トレーニング | 週1回、2時間程度 | トップレベルの剣士と戦える最低限の筋力と体重管理を行う。現在65~66kgの体重を3ヶ月以内に64kgまで落として、動きのスピードを上げる。 |
イメージトレーニング | 毎日、15分間程度 | 仕事帰りの電車で、トップレベルの剣士の映像を見て学ぶ。竹刀の動き、体のさばき方、打つタイミング、相手の崩し方など、取り入れられる要素を研究し、自分に落とし込めるよう明確にイメージし、稽古の時に取り組む。 |
素振り | 週1~2回 | 素振り用の重たい刀で300本を目安に行う。筋力・スピードを鍛えつつ、刃筋を整えるのが目的。自宅の壁に穴をあけないよう気を付ける。 |
ストレッチ | 稽古、トレーニングを行う前 | ケガが一番怖いため、ストレッチを欠かさない。ストレッチを続けることで、社会人になってから大きなケガをすることなく稽古ができているため、引き続き取り組む。 |
精神修行 | 毎日 | 稽古時以外でも意識する。精神の乱れは剣の乱れにも繋がるため、重要視する。 |
八段合格に向け、要素ごとに細かい数値目標を設定し、スケジュールをたてて修行にのぞむ伊島。
11月の試験に向け、本ブログで日々の取り組みを追いかけていきます。
素直な心、向上心、感謝の心|どんな時も「素直な心」、「向上心」、「感謝の心」をもって仕事をする
素直な心とは、自分も含め、目の前の現実をありのままに、正しく認めることのできる心のあり方のことです。これはプロを目指す上でとても重要な要素の一つです。素直で向上心のある人は高い吸収力を持っていますので、新しい事をどんどん吸収し成長することができます。また、「ありがとう」という感謝の言葉を、積極的に発信し、仕事と人生に良い循環を生み出していきます。
クレド第22条
[素直な心、向上心、感謝の心]より
国内最難関の取得の難しさで知られる剣道8段審査。1%に満たない合格率の試験に挑む伊島に、率直な想いを聞いてみました。
伊島
警察官や刑務官、実業団といった組織には剣道部が設けられていますが、そこで稽古を積み上げてきたトップレベルの剣士の方ですら合格できない試験です。私はそのような方々と比較すると、1/20程度の時間しか稽古に割けていません。
いまの私にできることは、稽古の質を20倍にすることです。トップレベルの剣士のすごいところを研究し、自分流にするための創意工夫をして体得し、合格を強くイメージできるようにしています。
先日、同世代トップレベルの警察官と稽古をしてもらう中で、課題が多く見つかりました。これまでご指導いただいた先生、ともに切磋琢磨しあえる稽古仲間、私の挑戦を支えてくれる家族の存在。周囲のおかげで八段審査に挑むことができ、本当に感謝しています。
自身の状況をありのままに受け止める素直な心。トップ剣士のよいところを余すことなく吸収しようとする高い向上心。
そして、自分を支えてくれる周囲への感謝の気持ち。
己を磨き、周囲への感謝を忘れない
剣道家としての高みを目指すべく、素直な心・向上心・感謝の心をもって、八段取得に挑戦します。
伊島
剣道は、精神面・肉体面の強化、人間関係の修行により、人としての成長を感じられるところによさがあります。また、剣道の修行を通じて、目標に向けて努力する習慣が身につけられる点がメリットです。試合や昇段審査でよい結果が出たときは、最高の喜びを感じられます。
0.1秒未満の動き、寸分の判断差で勝負が決まってしまう剣道は、一瞬の迷いや恐怖といった雑念で体の動きが鈍ります。トップレベルの剣士は相手の刹那の鈍りを見逃しません。そのような高いレベルの剣士の皆さんと剣を交えることは、剣の道を志す者の喜びです。
今回の挑戦を経て、私自身一段と成長したいと考えています。もちろんやるからには徹底して努力し、合格を目指してやり抜く所存です。
八段合格を目指して…伊島の躍進にご期待ください!
平日はハーブ健康本舗の品質管理として業務に打ち込みつつ、隙間時間や土日の時間を有効活用し、剣道最高位の称号獲得に向け動き出している伊島。
次回は「鍛錬」編!修行に打ち込む伊島の様子をご紹介いたします。
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執筆:住吉泰地(すみよしだいち)
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