現状からさらに成長し、キャリアアップしてはたらくには、組織のリーダーに必要なスキルを磨く必要があります。リーダーに求められるスキルのひとつが「マネジメント」スキル。

一般的には“仕事で成果を出すための管理業務”として語られるマネジメント。実際のところ何をすればマネジメントなのか、回答が難しい言葉です。加えて、マネジメント業務未経験でもリーダーに抜擢された途端にマネジメントスキルを求められるため、修得が難しい…と多くの会社で問題視されています。

「昇格したい、組織で評価されたい」
「事業を立ち上げて成功させたい」
「成果を出せるビジネスパーソンになりたい」

キャリアアップを目指すメンバーを後押しできるよう、ハーブ健康本舗では部長や事業部長候補の育成に力を入れています。組織のリーダーに必要なマネジメントスキルをどのように捉えているのか…研修制度構築を推進している代表の永松に話を聞いてみました。

代表・永松靖浩
ハーブ健康本舗の創始者。1998年の創業以降、自然美容健康茶「モリモリスリム」シリーズをはじめ、美と健康をサポートするオリジナルの健康食品を開発・販売。直近は化粧品事業や海外市場の拡大に注力しつつ、社内体制の強化として、マーケッターや部署リーダーの育成に力を入れている。

部長・課長を輩出するために…リーダーに求める目標設定

― 現在、ハーブ健康本舗でリーダーとして仕事をしているメンバーが増えていますが、永松社長の目には、いまのメンバーの状況がどのように映っていますか?

永松
皆さん、本当に頼もしくなっているように感じます。改善すべき点はまだありますが、会議での発言や日々の報告で「これだったら任せられるな!」と感じる場面が増えました。成果を出すことにこだわって議論したり、目標未達になりそうな時はすぐに代案を用意したりしてくれています。

― 永松社長が考えるリーダーの立ち振る舞いを体現しているメンバーが増えているのですね!そういえば以前のブログで、40歳までのキャリアプランを提出したメンバーを取材しました。取材時に、社長に直接プレゼンさせていただいたのだと伺いました。

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永松
はい、資料をもとに話を聞きました。「成長したい」という気持ちがよく伝わる、充分に練られたプランだったと思います。5年、10年先を見据えて目標をたてることは非常に重要です。

キャリアアップしたいと考えてはいるけど、言葉にせず胸にしまう人が多いように感じています。中長期的に自身がどう成長したいか、明確な目標を掲げ宣言することは、大きな成長に必要不可欠です。目標までにやることを逆算して、しっかり取り組んでほしいと思います。

― 目標設定は、自身の成長のためにも必要ですが、リーダー業務としても必要な側面がありますよね?

永松
そうですね。自分たちの部署・チームが達成すべき目標を明確に掲げ、メンバーそれぞれが目標に対してどう取り組むのか。組織を機能させるための明確な目標設定は、リーダーに求められるスキルのひとつです。

目標設定はチームの成果だけでなく、チームに所属するメンバーの成長にも直結します。余裕で達成できる簡単な目標ではなく、頑張って手が届くラインの難しさで目標設定し、やりがいをもってメンバーに取り組ませる。頑張って取り組んだ分がメンバーの成長になるので、成長を願って厳しく目標設定することが必要です。

― 目標設定を含め、リーダー業務は難易度が高いスキルを求められるイメージがあります。そんな中、ハーブ健康本舗ではリーダーとして仕事するための研修制度に力を入れていますよね?

永松
組織の規模を大きくする上で、部長や課長といった役職・事業推進役の存在は欠かせません。社内から立派なリーダーを輩出するために、4〜5年前から「部署リーダー研修制度」を構築して、運用をはじめました。イメージ的には課長クラスを育成する制度です。

部署をまとめるリーダーは何をしないといけないのか、そして、何が求められるのか。明確に言語化することで、会社が考える組織のリーダー像をメンバー全員に共有しました。

― 最近は、複数部署をまとめる存在である「部長」や、事業を推進する「事業部長」の育成を掲げているハーブ健康本舗。直近の取り組みを可能な範囲でお伺いしたいです!

永松
ちょうど最近、部長研修の中身が完成して、7月から運用をスタートしています。現時点で部長のメンバーにも受講してもらい、現職の部長のスキルアップを図るとともに、新たな部長輩出を推進することが狙いです。

また、昇格の要件・勉強すべき内容がさらに具体的になるよう、昇進試験制度を構築しています。試験制度は来期から運用予定で、研修制度と併せて部長にとって必要なスキルを学べる環境を整えているんです。

― より客観的な評価で部長への昇格を決めよう、ということですね?

永松
そうですね!合格基準がより明確になり、部長を志すメンバーがどう努力すればよいか、わかりやすくなると感じています。部長は部の経営者ですから、経営感覚をもって取り組んでもらいたいです。

― その他に、部長や事業部長を輩出するための制度づくりで取り組まれていることはありますか?

永松
部署のリーダーとは、毎月実施している結果目標MTGにて、目標達成に向けた進捗・課題点を適宜フィードバックしています。数年前から実施している、目標達成に向け支援する仕組みのひとつです。数値の良し悪しだけでなく、会社としての判断軸や価値観をリーダーに落とし込む場として機能しています。

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もうひとつ、育成制度として運用を考えているのが社内起業制度です。実際に自分で事業を立ち上げ、育てていく経験が、大きな成長につながると考えています。要件を整えるのにもう少し時間がかかりますが、よい制度に仕上げていきます。

業務管理やメンバー育成に必要なのは〇〇〇?会社が求めるマネジメントとは

永松
部長育成の基盤として実践している取り組みで効果を実感しているのが、「リーダーズクレド」です。

― 「リーダーズクレド」ですか?クレド(行動指針)は実践企画として、度々ブログで取り扱っていますが…。

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永松
実は、全社員向けのクレドに加えて、部門・部署リーダーに向けたクレドもつくったんです。毎日行っている部署責任者の朝礼内で時間をつくり、当番制でリーダーズクレドの項目をひとつピックアップし、簡単なスピーチをしてもらっています。

実際にクレドに書いてある行動指針を、自身の業務や経験に当てはめてスピーチを考える過程で、自身の行動を振り返るきっかけにしてほしいと考えて運用しています。口に出して宣言することで、より自分事として捉えられるようにするのも狙いです。

部署責任者向け朝礼の様子

― リーダーズクレドのスピーチ当番を実践して、どのような変化がありましたか?

永松
実際に運用しはじめて、メンバーの価値観の変化をよく感じます。話し方や態度が変わってきたな、と実感できる人が多いですし、実務で実践しようという姿勢が成果や業務の取り組み内容に現れている人もいますね。

リーダーに求められるスキルはいろいろとありますが、大前提として自分がリーダーであることを強く自覚して、理想のリーダー像に近づこうと努力することがすごく大切だと考えているんです。単純に役職がついたというだけでなく、リーダーとしてのマインドづくりに、リーダーズクレドが役立てばと思っています。

― マネジメントスキルをどうこうする前に、どういうリーダーであろうとするのかという考え方・マインドが大事であるということですね。

永松
マネジメントは確かに大切ですが、マネジメントだけできていれば部長・事業部長にふさわしいかというと、そうではありません。全体最適の視点で判断する力や、未来を見通す力も必要です。投資判断や部署間での協調性だって問われます。

思考・モチベーション・人間性を含めて、リーダーズクレドの22項目には、私が経営者としていままで経験したこと・勉強したことが凝縮されています。部門・部署のリーダー、ひいては経営者として成果を出すのであれば、必要なことばかりです。もちろん全項目を完全に体現するのは容易ではありませんが、クレドを体現したリーダーが社内から輩出できるのを楽しみに日々過ごしています。

― 強い想い入れのあるリーダーズクレド。22項目がすべて大切なのを承知で、中でも特に永松社長が大切にしている価値観があれば伺いたいです!

永松
そうですね…大切にしている、というよりは、もっと強く意識してほしいと思うのが「厳しさ」です。部下に酷く接しろ、と言っているのではありません。ここで言う「厳しい」の反対は、「優しい」ではなく「甘い」です。

関係性が悪化することを恐れ、多少できていなくても指摘せずに黙っていたり、できる仕事だけ振ったり…というのは、実はよく見受けられます。そのような接し方は部下の成長チャンスを逃がしてしまいます。優しいようで、かえって優しくない。

― 業務管理やメンバー育成につながる話ですね。ちょっと自分に置き換えて考えましたが、「嫌われたくない」「部署内でうまくやっていきたい」という想いで、接し方が甘くなってしまうかもしれません…。

永松
もちろん、部下とうまくやっていきたいという気持ちは痛いほど理解できます。ですが、成果を出せる人は、成果に対して厳しくある人です。仕事の仕方が甘いのに成果が出ている人はみたことがありません。

特にリーダーは事業や部門・部署を引っ張る存在ですから、甘さが目立つと「この人についていって大丈夫か…?」という不安を感じさせ、部下からの信頼にも影響します。経営者に置き換えるとわかりやすいです。「この経営者だったら会社が倒産するかも…」と不安になるようなところでははたらけないですよね。

繰り返しますが、厳しさは怒鳴ったり罵倒したりすることではありません。組織・個人の成果に対して常に厳しく向き合い、目標の達成とメンバーの成長に真剣であること。これがすごく大切だと思います。

― 永松社長のアツいメッセージ、ありがとうございます!インタビューの締めに、キャリアアップに悩む方へ、経営者の先輩として一言アドバイスをいただけないでしょうか?

永松
職種により求められるスキルは異なりますが、どのような職種でもリーダーたるマインドは共通しています。人格・人徳・人望があり、リーダーとして必要な価値観を行動レベルで体現でき、成果に対する強い覚悟をもって仕事に取り組める。マインド面はどんな仕事でも必要なスキルです。

事業を動かすには、多大な投資が必要となるし、いつどのようなトラブルが発生するかわかりません。現状の課題は成長のために必然的に訪れるものだとポジティブに捉えて、メンバーの模範となるようどっしり構え、前進できる。そのようなリーダーにぜひなってください!

リーダーたる価値観を体現し、メンバーの模範となる「強い覚悟」

キャリアアップに必要な要素とは何か。永松に話を聞く中で、スキルを磨くのに加えて、リーダーたる価値観・マインドを体現する重要性について、改めて深く考えさせられました。

「高い目標を掲げて宣言する」「メンバーの成長を第一に考え、成果に対して厳しくある」といった、マネジメント業務を語る上で欠かせない心構えは、ハーブ健康本舗の育成制度の根幹です。しかし、目標を堂々と宣言したり、厳しい姿勢で仕事に従事したりするのは、実際には結構ハードルが高いもの…。

メンバーの模範となるような、成果を出せるリーダーになるには、部門・部署を統括する強い覚悟が必要だと痛感しました。

引き続き、ハーブ健康本舗の部長・事業部長育成の仕組みづくりに注目しつつ、はたらく上で重要なマインドを紐解いていきたいと思います。

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執筆:住吉泰地(すみよしだいち)
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