会社のリーダーとして事業を牽引する経営者。
「いつかは新規事業を開拓してみたい!」
「独立して会社をもちたい!」
経営者を目指して日々仕事や勉強に取り組んでいる人は大勢います。
実際に経営者として仕事をする上で、どのような仕事があり、どのような素養が必要なのでしょうか?
日頃他企業の経営者と相対する機会が多い、ハーブ健康本舗の代表取締役・永松にインタビューしました。
代表・永松靖浩
ハーブ健康本舗の創始者。1998年の創業以降、自然美容健康茶「モリモリスリム」シリーズをはじめ、美と健康をサポートするオリジナルの健康食品を開発・販売。直近は化粧品事業や海外市場の拡大に注力しつつ、社内体制の強化として、マーケティングやセールスライティングに関する勉強会を実施中。
新規事業を立ち上げ拡大していくための「土台づくり」とは
― ハーブ健康本舗の代表として日々お忙しくお過ごしかと思います。直近は経営者として、どのような分野に注力されていますか?
永松
前期の全社会議で発表した通り、新たなフロント商材の創出や海外販路の拡大が目下の課題です。並行して、ハーブ健康本舗グループ全体として、新たな事業に取り組むための土台づくりに力を入れています。
― まさに最近の出来事として、2023年よりヘアケアブランド「HORMO」事業が本格的にスタートしましたよね!
2023年はハーブ健康本舗における勝負の年として新規事業への挑戦を進めているところかと思います。こういった新規事業に挑戦するための「土台づくり」というのは、具体的にはどういうことをするのでしょうか?
永松
新規事業を推進する上で、「経営企画」「マーケティング戦略室」の2つの部門が大きなカギを握っています。
経営企画の部門では、“経営企画”と“経営管理”、2つの領域の仕事があります。“経営企画”では、新規事業として期待できる市場を見つけ、新規事業として立ち上げるのが仕事。その後“経営管理”で経営状態を注視し、数値管理・改善していきます。
― ちょうど2023年4月に経営企画の仕事内容をインタビューさせていただきました。メンバーが増え、今期からは体制・担当範囲の見直しを行ったと伺っています。
永松
事業の立ち上げ・管理を行うのが経営企画の役割だとしたら、マーケティング戦略室は事業の成長に関わる仕事と言えます。
お客さまにファンになっていただくための事業モデルを設計するのがマーケティング戦略室の使命です。はじめてご注文いただいた後にどのようなアプローチをするか考え、お客さまの初回購入から3回目購入までを仕組み化すべく、日々メンバーが頭をひねっています。
― マーケティング戦略室は8月にインタビュー記事をリリースしましたね。確か今年の5月から部署として確立した組織となったと伺いました。
永松
事業を立ち上げて成長させるのは、独力で叶うものではありません。立ち上げはなんとかなったとしても、事業規模を拡大し、永続的に運営していこうとすると、チームメンバーとの連携・協力が不可欠です。
志を同じくするメンバーで、お客さまに価値を届けようという気概をもって一緒に推進できる環境をつくる。経営者はひとりで仕事を進めるだけでなく、組織で仕事を進めるための整備をすることが求められると考えています。
― その環境づくりの一環として、経営企画の立て直し、マーケティング戦略室の部署化があるのですね。
永松
ハーブ健康本舗を設立してもう20年以上経ちます。国内通販や卸事業、海外へと販路が広がりつつある中で、拡大の可能性がある市場に飛び込み、新規事業を立ち上げていきたいですね。
実はいま、会社としてM&Aによる事業拡大を検討しているんです。買収した会社の社長となって運営してくれる、あるいはハーブ健康本舗の新規事業担当として運営してくれる人を採用したく、人事に募集をかけてもらっています。
(2)M&Aで買収した会社を、当社の経営企画の新規事業担当者の立ち位置で、ハーブ健康本舗(あるいは外部)から運営のサポートをしてくれる人 |
― M&Aということは、いまある会社の事業を合併ないし買収して、ハーブ健康本舗のグループとして経営していく…ということでしょうか?これは会社としての大きな取り組みですね!
永松
以前から構想はあったのですが、最近になってようやく本格的に動かしはじめました。スタートアップの会社を調査して、その会社の社長さんに話を伺いつつ、検討を進めているところです。
〇〇が苦手な人が多い?経営者のやるべき仕事と課題
― M&Aを検討される中で、たくさんの経営者の方と話をされたとのことですが、どのような印象をもたれていますか?
永松
資金源の問題、事業の伸びしろの問題…会社により悩みはさまざまですが、やはり立ち上げた事業を成長させていく、会社を経営し続けるというのは難しいのだと痛感します。
M&Aによる規模拡大を検討する上で、経営者や事業リーダーの仕事内容を明確にしようと思い、大きく4つに分類しました。
(2)事業のフロー整理および可視化&フォーマット化 (3)各種制度構築、仕組みつくり (4)人の採用、育成、組織マネージメント |
― 1の「課題抽出から解決」というのは、事業の実績を管理し、課題を見つけて改善する、PDCAを回すようなイメージですよね?
永松
そうですね。事業の構想を練ったり企画を立案・実行したり、市場を調査したり数値を管理したり…このあたりは仕事のイメージがつきやすく、関心をもって取り組む人が多い印象です。
ここで注目したいのが2~4の仕事。フォーマット化や仕組みづくり、組織のマネージメント領域は難易度が高く、苦手に感じる人が多かったり、そもそも興味をもたれない、というのをよく耳にします。
― 永松社長としては、この2~4の仕事をもっと重視すべき、というお考えでしょうか?
永松
会社を経営していると、社長ひとりではどうにもいかない場面が必ずやってきます。事業が拡大していくと、いくら自ら手掛けたいと思っても手が回らなくなりますから。
会社を0の状態から1にするのは単独でも叶いますが、1から10に成長させるには、組織の力が必要です。かといって、とりあえず人を増やせばいいのかというと、そういう訳でもない。
業務のやり方や状況に応じた判断を揃えるには、事業フローを可視化・フォーマット化することが大切です。
また、制度の構築や組織のマネージメントにより、メンバーの仕事の姿勢やマインドを揃え、一枚岩の強いチームにすることができます。これは経営者にとって大切な仕事のひとつだと思います。
― ハーブ健康本舗でも、ここ数年で各種制度やマニュアルが充実した印象があります。永松社長の中でも意識的に「やらなければ!」と考えた時期があったのでしょうか?
永松
7~8年前から本格的に組織づくりを検討しはじめましたね。研修制度の資料を一新したときは、通常の業務と並行しての対応となり、なかなか骨が折れました…。
おかげで、研修・育成・制度づくりに関するノウハウはかなり充実してきたように感じています。
直近では、部長以上向けのリーダー育成研修を実施し、事業リーダー候補の3人に研修を受けてもらっています。
研修に先立ち、そもそも「部長」の定義を明確にしたことで、「部長として活躍するにはこうならないといけない」といった視座が明確になり、浸透してきたように思います。
経営者に向いている人とは?身につけるべき素養
― ハーブ健康本舗という会社を立ち上げ、事業を拡大し続けているかと思います。経営者として仕事するスキルは、一体どのように身につけたのですか?
永松
私の場合は、とにかく書籍を読みました。読むだけでなく、本質的な部分を書き出して資料に落とし込み、マニュアル化していくことをやっています。
数冊分書籍を読むと、表現は違ったとしても、どの書籍にも書かれている本質的に重要な部分に気付けますので、それを言語化し、他の人にも伝えられる形にしています。
― 読書については、3年前のブログ記事でも重要性を話していただきましたよね。ときには深夜2〜3時まで勉強する、とのことでした!
永松
会社を経営していると、「組織ってどうつくればいいんだ?課長・部長とは一体何なんだ?」といった問題意識が出てくるんです。事業で結果を出して会社をよくするために、組織づくりや社員育成を学ばないといけない!と奮い立ちます。
私個人の話ではなく、組織全体に関わる話ですので、学びに対する熱量が高くなります。普段の仕事をこなしつつ勉強するのは大変ですが、自分がなすべきことだと思って日々ふんばっています。
― ありがとうございます!インタビューの締めに、これまでの話を踏まえて、経営者に向いている人がどのような人なのかをお伺いしたいです。
永松
自分に厳しい人が向いていると思います。人の2倍はたらく覚悟があるか。
経営者というのは、会社における最終責任者です。最終責任者になる上で、会社の責任を自分の責任だと考えて、自分事で取り組める人じゃないと、続けていけないと思います。
― 自責の気持ちをもつ大切さ、当事者意識をもつ大切さは、2021年の記事でも伝えていただきましたね。
永松
事業を前に進めていくと、必ずどこかで問題が起きます。競合他社に先手をとられかねない厳しい市場環境において、限られた時間の中でいかに最短・最速でゴールに辿りつくか。会社にとっては死活問題です。
だからこそ、当事者意識をもって、スピード・品質・コストのバランスを踏まえ、適切に判断・前進していくことがのぞまれます。そのためにも、日々の努力・勉強を怠らず、ストイックに学びを得られる人が経営者に向いているのではないでしょうか。
この学びのプロセスを面白いと感じる人、楽しいと感じる人は強いですね。最初から結果が出ることは稀で、事業をはじめて1年くらいは大変な時期が続きます。
そこで「いやだな」とネガティブにならずに、全体最適の観点をもつ・中長期的に視野を広げる・コストを常に意識するなど、事業推進に必要な考え方をおさえつつ、結果が出るまで粘り続ける。それが経営者の理想ですし、私自身もそうでありたいと考えています。
組織づくりをストイックに考え続ける「覚悟」をもてるか
自身のたくさんの経験をもとに、経営者の仕事内容・素養について話してくれた永松。
制度を整え、メンバーが成長できる組織づくりを推進する難しさ。その難しさに対し、ストイックにかつ楽しみながら取り組むことの大切さを知るよい機会となりました。
ハーブ健康本舗から新たな事業リーダー・経営者が輩出され、さらにたくさんのファンを世界中につくる未来が楽しみです。
今後も会社の組織づくりに関する取り組みや制度構築の背景をご紹介してまいります。引き続きふんばるブログを宜しくお願いいたします。
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執筆:住吉泰地(すみよしだいち)
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