「いままでたくさん提案したけど、なかなかうまくいかない…」
「発表用の資料って、どうやって作成したらいいのかな…」
「そもそも口頭でいいのかな?文書にまとめないといけない?それともパワポ…?」

新しいアイデアを提案したり、自分で考えたプランをプレゼンしたり…自分の考えを資料にまとめて発表するのは大変ですよね…。

相手の心を惹きつける最高のプレゼンを披露して、自分のアイデアを承認してほしい!

そんな気持ちにお応えすべく、本記事では『提案・プレゼンを承認に導く方法』について、ハーブ健康本舗流に回答します!

いままで社員からさまざまな提案・プレゼンを受けてきた代表・永松に、「こんな提案をされたら迷わず承認する!」「発表時、ココだけは気を付けてほしい」というポイントを、率直に訊いてみました。

★代表紹介

代表・永松靖浩
ハーブ健康本舗の創始者。1998年の創業以降、自然美容健康茶「モリモリスリム」シリーズをはじめ、美と健康をサポートするオリジナルの健康食品を開発・販売。直近は化粧品事業や海外市場の拡大に注力しつつ、社内体制の強化として、マーケティングやセールスライティングに関する勉強会を実施中。

重要なのは伝える「要素」と「順番」|提案・プレゼンの資料作成時に役立つポイント

― 提案やプレゼンが苦手で悩んでいる人に向け、いままで数々の提案やプレゼンを受けてきたご経験から「ここを気を付けると良くなる」「思わず話を聞き、承認したくなる」というポイントをご教示いただきたいです。

永松
どういうタイプの提案・プレゼンなのかによって、回答が変わると思います。例えば、何かひとつ会社・部署の明確な課題があって、その課題を解決・改善していくためにどうしたらいいか、という提案。

永松
このパターンは特定のテーマに対する課題がハッキリしており、提案者と決裁者で認識を揃えやすいので、比較的シンプルな提案でよいと考えています。この場合はまず①結論から話して、次に②結論に至った理由、③実例を紹介した上で、④改めて結論を述べる という流れが最も伝わりやすいです。

課題解決に関する提案時の「伝える要素と順番」
① 結論を述べる Aという課題に対し○○を提案します。
② 結論に至った理由を述べる ○○をやるべき理由は、△△だからです。
③ 実際の例を述べる 実際に○○を実行して、~~という結果が出ています。
④ 改めて結論を述べる そのため、○○を実施すべきと考えております。
導入の承認をいただきたいです。

― 論理的で伝わりやすいです。「どういうタイプの提案・プレゼンなのかによって…」とのことでしたが、その他のタイプだとどうなるのでしょう?例えば、ゼロベースから参入すべき市場を見つけて、事業計画として提案するような場合、とか…。

永松
新規事業提案のようなものですね。その場合は持っている情報や前提条件を提案者と決裁者とですり合わせておく必要があります。その分、提案する要素として、課題や背景を明確にしたり、実施するメリット・デメリット、実行するまでに費用がどのくらいかかり、どのような手順を踏むのか…これらが必要になります。

永松
資料に落とし込む際は、必要な要素を漏らさずに、適切な順番で述べるのが、わかりやすい提案・プレゼンにつながる一番のポイントです。ハーブ健康本舗では、提案したり申請したりする書面をフォーマットにして、項目を埋めていけばわかりやすい提案ができるように工夫しています。

― こちらがそのWeb上での申請画面ですね。確かに項目分けされており、ひとつずつ順番に埋めていく形になっています。

― これなら、毎回何を書いたらいいか迷わずに、スムーズに申請できますね。

永松
何を実現したいと思っているのかが一目で理解でき、実施したときに得られる効果や、考慮しておくべきデメリット、かかる費用や時間といったコストまで把握できると、承認しやすいですね。

提案時のフォーマット
① タイトル 何について、どうしようと思っている提案なのか。
明確に分かりやすくタイトルをつける。
② 申請内容 タイトルに書いていることをもう少し詳しく書く。
5W1Hを用いてより具体的に。
③ 現状の課題及び背景 実現することで解決したい課題、提案するに至った背景を書く。
提案・申請を実施する理由にあたる部分。
④ 解決策・コスト 課題に対して何をして解決しようとしているのかを書く。
解決策を実現するにあたって発生するコストも併せて書く。
⑤ 実施メリット・リターン 実施するメリットや得られるリターンを書く。
課題を解決するだけでなく、さらなる効果が期待できる旨を伝える。
⑥ 実施デメリット・リスク 実施するデメリットや生じうるリスクを書く。
予め把握することで、対策できるようになる。
⑦ 必要な資源・プロセス 実行する上で必要な資源を書く。ヒト・モノ・カネなど。
どういったプロセスを踏むのか明記し、実行のスケジュールを明確にする。
⑧ 結論 改めて提案内容に触れ、結論づける。
決裁者に何をしてほしいか(決済?承認?確認?)を明記する。

永松
文章がダラダラと長くなると、読む側も読み進めるのに苦労し、どんなによい提案であっても印象が悪くなりかねません。ポイントを押さえて、端的に書くよう意識してほしい。要点は箇条書きにする、提出前に表現を見直すなど、工夫するとよいですね。

○分以内のプレゼンが理想?提案・プレゼン時の「伝え方」「情報の集め方」

永松
資料を作成するスキルと相手に伝えるスキルは別の話なんですよね。わかりやすい資料に仕上げることは確かに大切だけど、作成した資料をもとにどのようにプレゼンテーションするかも重要です。

プレゼンテーションの3ステップ
① 提案したいテーマに沿って、情報を収集する(聞く)
② 情報をまとめ、構成を考えて、わかりやすい資料をつくる(書く)
③ 口頭で話すのか、文書で提出するのかを決め、発表する(伝える)

永松
そもそも提案やプレゼンは「聞く」「書く」「伝える」の3段階にわかれます。特に事業提案や会社の戦略に関する大きな提案は、書面にまとめるだけでなく、関係するメンバー全員の興味をひき、「やりたい!」と思わせる必要がある。提案時は「どうすればより魅力的に伝わるか」まで考えて、提案できると理想的です。

― この「伝える」って、提案するときに緊張したり、つい脱線したりして、苦手に感じている人が多いと思うんです。永松社長的には、どういう伝え方が成功につながりやすいとお考えですか?

永松
いろいろありますが、まずは「長ったらしく説明しない」。5分以内で伝える気持ちで発表すると良いかと思います。ポイントをおさえて端的に話す必要がありますね。

― お話を聴きながら、複数人の経営者に新規事業の提案をして投資をお願いする某YouTubeチャンネルの一場面を思い出しました。お話上手な提案者に対し「話が長すぎる、何が言いたいの?」とかなり厳しいフィードバックが寄せられていて。話がうまいだけじゃダメなんだな…と思って視聴していました。

永松
提案やプレゼンを聞く以外にも、私を含め決裁者・確認者はいろいろな仕事を抱えています。ちゃんと理解してあげたいのは山々ですが、忙しい時期に30~40分提案を聞き続けるのは正直ちょっとキツい…というのが本音です(笑)。

― 時間は有限ですもんね。端的にわかりやすく伝えるには、どういう点に気を付けるとよいでしょうか?

永松
事前準備をしっかりしておくのが大切です。自分の提案やプレゼンの核となる要素を理解し、口頭でしっかりと伝えた方がよいところ・別途資料に目を通してもらえればいいところをわけるとよいと思います。

永松
話すのに苦手意識がない人ほど、その場の勢いで発表できます。ただし「話せる」と「伝わる」はイコールではありません。ちゃんとわかりやすく伝えられるように、きちんと整理してプレゼンに臨んでほしいですね。

― 確かにおっしゃる通りですね。

永松
その他のポイントとしては、「わかりにくい言葉は使わない」。現場の人と決裁者との間には、専門的な知識や現場経験で差が生じています。予備知識がない人にわかるように、専門的な用語や知識がないと理解できない話し方を控え、提案する上での背景や必要事項を丁寧にすり合わせるとよいと思います。

永松
もうひとつ。事前準備として情報収集をする段階で、調査が不十分なのか、現状把握が甘かったり、間違った捉え方をしているなと感じる場面があります。現状の捉え方ひとつで提案の結論が変わってしまう。だから、提案する際には「本当に現状はそうなっているのか?」「皆がやっている施策は自社でもあてはまるのか?」など、客観的に振り返ってほしいですね。

― 情報収集って大変ですよね…日々忙しい中で情報の収集と整理にかける時間を捻出する難しさがあるし、収集できたとしても情報を整理して自分の提案に組み込むのにスキルが必要だと感じます。

永松
時間がない中で、つい偏った情報源に頼ってしまいがちですが、判断を間違えないよう、広い視野で情報収集するのを心がけてほしいと思います。資料作成やプレゼンテーションの前段として、この情報収集の質を担保する必要がある。提案における重要な段階だと認識して、時間を割いてもらいたいです。

会社全体で提案力・プレゼン力を向上するために…

― いまも頻繁に社員からの提案やプレゼンを受ける機会が多いと思うのですが、実際どのくらいの頻度で受けていらっしゃるのですか?

永松
事業に関してはマーケティング戦略室や経営企画のメンバーと打ち合わせながら、方針や目標値を決めることが多いですね。その中で「こういう数値感でやりたい」「こういう施策をやりたい」と提案を受けることがあります。

永松
その他、各部署のメンバーから、施策や運用予算の承認で、話を聞く機会もありますね。

― 直近「コレは良かった」と感じたり、印象に残ったりしている提案・プレゼンはありますか?

永松
そうですね…実は前期から、部長育成プロジェクトというものを実施していまして。はじめたばかりなので全社員に展開している訳ではないのですが、将来的に部長レベルで仕事をしていただくために、2週間に1度くらいの頻度で集まって研修・勉強会を開催しているんです。

― なるほど。

永松
その会の中で、毎回テーマを決めてプレゼンしてもらう機会を設けているんです。リーダーとして常に会社をより強くしていくために、課題の改善や新たな施策をどんどん推進していかなければならない。その提案力を鍛える場として、部長育成プロジェクトを実施しています。

― 具体的にはどのようなテーマで提案するのですか?

永松
主に販売戦略や組織づくりに関するテーマが多いですね。経営者視点を養って、会社の運営を任せられる人物に育ってほしいという想いがあるので、会社全体の進む方向性に関わるようなテーマ設定にしています。

部長育成プログラムのテーマ設定例
「新たに狙うべき市場はどこか、その市場でどのような事業が展開できるか」
「競合が多い健康食品・化粧品業界で成功するには、どのような販売戦略をとるべきか」
「会社全体の生産性をあげるために、どのような取組をすべきか」
「社員がモチベーションを感じて働ける環境にするにはどうしたらいいか」

― 事前にまとめていただいたテーマの例をみると、一筋縄ではいかないテーマが多いですね…。会社内外の状況を正しく把握し、長期的に会社が前進していくイメージがないと、うまく提案できない気がします。

永松
部長育成プロジェクトに参加しているメンバーも、最初は苦戦していました。説明が長くて、結局何を言いたいのかよくわからない提案が多かった(笑)。ですが、半年くらい続けてみて、ここ最近はアイデアを練ったり簡潔に伝えるスキルがメキメキ上達しているなと感じます。

― 部長育成プロジェクトが、提案・プレゼンを鍛える場として機能しているのですね。

永松
繰り返し提案やプレゼンをする機会があって、フィードバックを受けつつ繰り返し挑戦できる環境が大事だと考えています。メンバーの提案・プレゼン力が向上できるよう、会社として提案・プレゼンを実施しフィードバックできる環境を整えていきつつ、部署単位でも提案力を磨く育成体制を構築してもらいたいです。


情報収集し、資料にまとめ口頭で発表する。提案・プレゼンの流れで、それぞれおさえるべきポイントがあります。

自分のアイデアを魅力的にわかりやすく伝えられるよう、事前準備をしっかり行って挑みましょう!

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執筆:住吉泰地(すみよしだいち)
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