国内外問わず全国各地のお客さまに商品・サービスを提供し続ける上で、社内のシステム環境整備は重要課題です。高品質な商品をお客さまのお手元まで届けるには、大量の受注・発送に対応できる通販システムが求められます。
また、ライバル他社が増え競争が激化した通販市場では、商品・サービスでいかに差別化させられるかが勝負です。お客さまに喜んでもらえる価値をつくりあげるには、これまでの膨大なデータベースを分析・解析し、現状を打破する解決策を模索しなければなりません。
基幹システムからデータ分析まで、通販会社のシステム部門は事業推進の要。年商180億円の目標を掲げているハーブ健康本舗では、さらなる事業拡大を実現する組織づくりの一環でDX推進(※)を進めています。
※DX推進とは、ビジネスの現場に最新技術・システムツールを積極的に取り入れ、業務フローの見直しや作業の効率化を実現することで、組織そのものを改善・改革すること。
今回は、社内の抜本改革を力強く進めているシステム部門のメンバーに、社内のシステム化・DX推進の取り組みについてインタビューしました。
システム 磯野
2023年1月、経営企画に入社。その後システム部門のリーダーとして、会社全体のシステム領域を最適化すべくチームをまとめている。
システム 齋藤
2024年1月、システムに入社。1年足らずでRPA(※)推進の開発部門を担当。会社全体のシステム化を推進している。
※RPAは「ロボット・プロセス・オートメーション」の頭文字をとった言葉。定型業務を機械化・自動化してくれるツールの総称。
社内にヒアリングしてシステム改革!業務効率化を推進する取り組み
― 社内のありとあらゆるシステム領域を担当しているシステム部の皆さん。何人で会社のシステムを支えているのですか?
磯野
システム部は現在7人体制です。企画の根幹は社内で固めて、プログラミングの書き出しは適宜パートナーである専門業者にアウトソーシングしながら、仕事を進めています。
― ここ数年で、社内のシステム化がすごく進みましたよね!特に印象的なのが、2024年5月に周知されたRPAの開発募集です。この取り組みの経緯を教えてもらえますか?
齋藤
手間がかかる業務に対して、もっと効率的に進めるにはどうしたらいいか。各部署が抱えている業務での困りごとをヒアリングし、RPAを活用して課題解決に取り組もうとはじめた取り組みです。ルーティンでやらないといけない業務や、毎回手動で行うのが手間なタスク、ヒューマンエラーが起こりやすい仕事を改善する狙いがあります。
5月に募集をかけた段階では、27件の開発要望が出てきました。問い合わせがあった部署とすり合わせしながら開発を進め、現在は半数以上が対応完了しています。並行して新しい要望がどんどん出てくるので、システム部内で整理し、随時対応中です。
磯野
すべてをRPA化することが目的ではなく、そもそもRPAの活用が本当に最善策なのか、ほかのシステムツールを活用する方が効果的ではないか…社内の困りごとをシステム部の観点で適切に解決することが何よりの目的です。まずは各部署・担当者へヒアリングの時間をもらい、システム導入で実現できる最適な改善方法を提案するよう心がけています。
― 具体的にはどのような開発要望があるのですか?
齋藤
Excelやスプレッドシートを使い、手動で集計している作業を効率化できないかという相談が多く寄せられます。直近では、毎日作業を行うWeb広告の実績集計をRPA化し、簡易な操作で自動化できるように改善しました。商品・販促内容別に、短時間で結果が算出できるようになったのに加え、担当者が休んでいる土日の結果を自動的に出せるようになった点が、RPA化の大きなメリットです。
RPA化は、ロボットに集計のやり方を明確に指示しなければ、正しい結果が得られません。たとえば、資材や在庫管理で使用している集計用のシートは、管理する上での細かい集計ルールがExcelに適用されています。集計結果が間違わないよう、ヒアリングで業務自体への理解を深めた上で設定を固め、テスト運用期間を設けて丁寧に実装しました。
― 販促・バックオフィスなど、さまざまな部門でRPA化が進んでいるのですね!
齋藤
各部の要望を実現できて嬉しく感じている反面、RPA化で対応できているのは氷山の一角だとも感じています。業務によってはExcel作業に時間を費やしていたり、特定の担当者しか業務ができない状態になっていたり…私たちに解決できる課題を見つけて、積極的に取り組みたいです。
磯野
RPAはもちろん、ここ数年の技術革新でシステム化できる業務領域の幅は各段に広がっているように感じます。例えば、文章や画像を自動的に生成できる生成AIサービスは、一般的に認知が広がり、たくさんの場面で活用されるようになりましたよね。ハーブ健康本舗でもAI技術を活用して、キャンペーン施策の結果を簡単かつスピーディーに分析できないか、詳細を調べつつ導入を検討しています。
― AI関連のニュースを耳にする度、日々バージョンアップしていくことに驚かされます。新たなシステム・サービスがどんどんリリースされていくので、情報収集が大変ですよね…。
磯野
最新の情報に触れ、会社にとってプラスになる技術はどんどん取り入れていきたいですね。加えて、導入して終わりにせず、その後の安定的な運用までを考えて導入することを重視しています。システムによっては、正しい結果が出力されなかったり、場合によってはほかの集計・作業に影響して、致命的なエラーを起こしかねません。
齋藤
通販サイトの売上進捗を集計する依頼を受けた際は、システムサービスの提供会社からリリースされているサービスを比較検討し、安定的に運用可能な集計ツールを導入しました。各部署が求める機能によっては、自社でアプリを内作して対応した方が早いし正確な場合もあるため、案件ごとに最適なシステム構築方法を見極めて導入するよう心がけています。
― 各部署からの要望を整理し、業務の効率化を実現するツール・システムを導入するには、導入形態から運用方法まで熟考しなければいけないのですね。
磯野
もうひとつ、システム化が進むにつれ、社内で使いこなせるようマニュアルを整備したり、レクチャーを準備したりする必要があります。これまでの実績・データベースを最大限生かせるよう、会社のDX推進をはかると同時に、メンバーのITリテラシー(※)を高められる教育体制を、並行して整えていきたいです。
※ITリテラシーとは、情報技術に関する理解を深め、業務の効率化や事業の最大化に生かせる能力のこと。
集計や分析がボタンひとつで簡単にできるようになると、確かに短時間で作業が完結します。同時に、作業を自分たちでやらない分、集計・分析方法に疎くなるのがデメリットです。出てきた結果に思考停止しないよう、何のための集計なのか、どのように分析するのか…常に頭をはたらかせながらシステムを活用することが大切だと思います。
システムの仕事は「クリエイティブな発想」が重要
― 社内のシステム化を進める上で大切にしていることや、気を付けていることってありますか?
齋藤
根本の課題はどこにあるのか、見極めて解決できるよう取り組んでいます。各部署にヒアリングするときは、どのような要望かを確認するのに加え、相談・依頼の背景や目的までを理解できるよう、しっかり耳を傾けるようにしています。他部署の業務理解を深めて、はたらきやすい環境づくりに貢献できるような提案をするのが私たちの仕事です。
手動の集計作業が自動化されるだけでなく、ほかの作業に応用できたり、業務フロー自体を見直したりできるかもしれません。でも、実際にシステムを導入したらどのような効果が得られるのか、何が変わるのかというのは、システムに精通していないとイメージしにくいと思うんです。なので、まずはしっかりヒアリングして、私たちだからこそわかること・システム観点での意見を積極的に発信するようにしています。
― 別部署の仕事だからと線引きせず、困っている事態を一緒に受け止めて、よりよくなる提案をしているんですね!チームとして仕事をしている感じがして、とても素敵です。
磯野
成果が出るのは大前提として、お客さま・パートナー企業さま・社内メンバーの気持ちに寄り添い、誰にとってもベストな状態を追及していくことを大切にしています。言われたことにだけ対応するのではなく、柔軟な視点でアイデアを出せる部署でありたいです。どんなことでも“いかに面白く、いかに効果を最大化するか”にこだわりたいですね。
課題を解決し現状よりよい状態をつくるために、企画を練ったり提案したりする点で、システムの仕事はクリエイティブな発想が生かされる仕事なんです。料理でもDIYでもよいのですが、ものづくりが好きな人はシステムの仕事に向いていると思います。採用面接の場でも、趣味の話やものづくりの話で盛り上がることがあるんですよ。
― “クリエイティブな発想”というキーワードは印象的です。システムの仕事をするのに大切な価値観なのですね。
磯野
はたらく上で大切にしている考え方はいくつかあります。たとえば、同じことを繰り返すのではなく、常に新しいチャレンジをすることは、部署全体で大切にしている価値観のひとつです。今期の結果目標も、いままでにない新しいことをやろうと、内容をてんこ盛りにしました!全部署を巻き込む大きなプロジェクトが控えているので、チーム一丸となり取り組みます。
ハーブ健康本舗の目標管理は、理想の状態を明確に掲げて、達成に向けたステップを組むことに徹底しているのが特徴です。目指すべきゴールに向けてシステム部が何をすべきなのかが、具体的に定められています。単にシステムを管理する部署にとどまらず、目標達成に向けて積極的に行動し続けていきたいです。
― 会社全体のシステム化推進に向け、部署として挑戦を続けているのですね。
齋藤
RPAで業務が効率化したり、設定したマスタにより施策が順調に稼働し出したり…システムとして取り組んだ仕事の効果が可視化されると、達成感があります。効果を最大化させるために、もっとこんなことができるんじゃないかと考えをめぐらせて、実際に提案・実行し、メンバーから感謝されるのは嬉しいですね。
以前、EC事業のメンバーから効率化したい業務について相談を受け、EC事業の業務内容や課題をヒアリングしつつ、システムとしてできることやアイデアについて話す場があって。話していくうちに、依頼された内容以上にシステム化できる範囲が見つかったんです。他部署の業務理解を深めていく中で、システムで提案できる部分を、これからもっと見つけたいと思います。
― 貴重なお話をありがとうございます!インタビューの締めに、会社のDX推進で部署・個人単位でこれから取り組んでいきたいこと、将来の目標があればお伺いしたいです。
齋藤
入社当時から、目標達成に向けて最先端の情報を取り入れている会社だと感じていたんです。誰もがさまざまなツールを駆使して、成果を出そうと業務に取り組んでいるような印象でした。システム部の一員として、メンバーがもっと効果的・効率的にはたらける環境づくりに貢献したいと思っています。
RPA化募集の取り組みをはじめ、システム部からはたらきかけることで、社内からたくさんの意見・要望が出てきました。困ったことがあればいつでも気軽に頼ってもらえるよう、相談しやすい仕組みづくりに並行して取り組んでいきたいです。
磯野
これまでのネット環境やセキュリティソフトを見直した2024年は、インフラをしっかりと整えた1年となりました。目指す事業規模が変わっていく上で、IT化すべき部分がまだまだあります。分析業務がより複雑になる上で、データベースの活用やデータエンハンスメント(※)をいかに進められるかが重要です。
※データエンハンスメントとは、顧客理解をより深めたり新たな施策の切り口を模索するために、保有している顧客・施策のデータの精度をより高めること。保有データに、社内外のさまざまな情報を付加することで、多角的なデータ解析を可能にする。
ハーブ健康本舗は現在、3ヶ年計画で年商180億円を目指しています。これからいま以上に事業規模を拡大していく上で、事業拡大に耐えうる強固なシステム基盤づくりは非常に重要であり、今後の最大の課題です。データベースを活用した分析機能強化やCRM施策の充実化など、やりたいことがたくさんあるので、しっかり推進していきたいです。
クリエイティブ思考&チャレンジ精神で、成果につながるシステム構築を推進
ハーブ健康本舗のDX推進をささえるシステム部。各部署の業務状況や課題をヒアリングして、RPAをはじめさまざまな取り組みで、会社全体のシステム環境を整備しています。
業務効率化が進んでいく背景には、根本課題の解決に向けアイデアを練るクリエイティブなシステムメンバーの活躍がありました。常に新しいことにチャレンジするシステム部…2025年のさらなる飛躍が楽しみです。
目に見えて変化していく社内のシステム事情。引き続き本ブログでも追いかけていきたいと思います。
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執筆:住吉泰地(すみよしだいち)
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